大追撃(原題:the great pursuit)は，2004年のクリスマスに配布された最後の公式マップパックである「BF1942 Match Mappack」に収録されていた4つのマップのうちの1つでした．

THE GREAT PURSUITとは

私がmapper(map製作者)として初めてFHSWへの移植に関わったマップであり，半ば(今も?)サンドボックスのような扱いで色々と試した思い出深いマップでもありました．
FHSW移植版として初めて配布されたのは，ver0.27の頃(2007年)のカスタムマップイベント
だったと思います．
当時はハンガリー軍が陣営として追加されていなかったため，登場する陣営は無印と同じドイツとソ連でした．
地形もほぼ手を加えておらず，プッシュマップ化のためのpushcageの都合上，旗の座標を若干移動させた程度です．
この頃の年代設定は1944年後半を想定し，所謂「ベルリン郊外」のような戦力の構成にしようと考えていました．

セーチェーニ鎖橋

ところで，「the great pursuit」は他のMatch Mappackにも見られるように，ユニークな建物のモデルがマップに埋め込まれています．
レマーゲンマップの鉄橋のような巨大な建造物ではありませんが，マップの西端には何やら
見慣れない橋のモデルが置かれています．この一帯は戦闘区域外であり，無印の橋モデルを流用しても何も問題ない箇所に，敢えて新規モデルを使ったのは何か理由があったのでしょうか．
更に対岸にはゲーム中に一切使われることのない市街地があり，この橋が交通の要衝であった(という設定である)事を物語っています．
完全な確証はありませんでしたが，この橋は恐らくハンガリーの首都ブダペストに架かるセーチェーニ鎖橋に姿が似ているのでは無いかと思いました．
この橋は史実でもブダペスト包囲戦の戦火に巻き込まれ，1945年1月に損傷を受けたとされています．

そんな中，ver0.3でHungarianFrontModのハンガリー軍が新たに追加となり，ロケーションとしても最適なthe great pursuitが公式対応マップとしてFHSWに取り込まれる事になりました．
想定年月を1945年1月に変更し，ロード画面に割り振られた年号も1944から1945へと作り替えられました．
1944想定時のロード画面は私がまだ画像編集に不慣れな頃に作成したもので，とても見せられたものではないのですが，1945設定のロード画面は画像編集の得意な方に作成して頂きました．
どうやら画面右に登場するキングティーガーは，実際に1944年のブダペストで撮影された写真のようですね．
これと並行してver0.3向けにローカライズ用のファイルが書き換えられて「大追撃」と名付けられたのですが，当初の和訳のアイディアとしては「大追跡」も候補としてありました．
ただし「跡」の漢字を表示することができず，「大追撃」に落ち着く事となります．
今思い返すと，こちらの方がカッコイイので結果オーライでしょうか．

その後はFHSW新塹壕モデルの追加，有志の方による地形の改装，破壊可能な対戦車障害への差し替え，新3旗の追加等が行われ，現在の大追撃があります．
FHSW初期から新要素や新兵器の試験場として役目を果たして来ましたが，今後もそのような活躍ができるマップを作り続けていければと思っています．